あの砂場であったあの時の出来事


ちくたく。ちくたく。ちくたく。ちくたく。
砂場で二人、砂山を作りながら秒針のリズムに合わせて口ずさむ。
「ねぇねぇ、おっきくなったらけっこんしようね」
舌足らずな子供らしい話し方で隣の子に言う。
「うん、じゃあボク、こうちゃんのおむこさんになる」
スコップで山を固めて、二人で「かんせーい」と歓喜の声をあげる。

「ねぇねぇ、あれ、なんだとおもうー?」
上から落ちてくる何かを指差しながら天を仰ぐ。
「えー、どれぇ?こうちゃん・・・」
スコップを置いて空を見上げようとした刹那、周りが真っ白になっていった。意識が飛んだ。

暫くして目を開けた。辺りは赤と黒の二色だけ。砂山はない。
「あれ・・・こうちゃん・・・?」
横に寝転がったこうちゃんをゆさぶる。皮膚がまっかになっていてぴくりとも動かない。サイレンの音が遠くで聴こえる。

ごー・・・
背後で変な音がすると思ってふり返ると、飛行機だ。
光る線が飛んできた。
その光が自分に当たったかと思ったらそこで思考が止まった。
砂場だったところに横たわった二人は、言うまでもなく、
息絶えていた。









fin



*あとがき*
原爆のできごと。「赤」は火で「黒」は煙です。
小説を書いてるノートに1頁で終わる文を書かなくてはいけなくて、音楽を聴きながら書いたものです。
暗い曲を聴いていたわけでもないのに暗いお話になってしまいましたが・・・;









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