「乙鳥さん、爪にマニキュアは塗ってはいけません。」
体育の途中、先生が私にそう言った。
だけど、私はマニキュアなど塗ってはいない。だって、学校にマニキュアは禁止って知ってるし。もう中3だし。先生はきっと爪磨きして光ってる私の爪をマニキュアが塗ってあるのだと勘違いしたのだろう。
「マニキュアなんて塗ってません。」
私はちょっとムッとしながら答えた。すると先生もムッとした。
「じゃあその爪は何。」
「爪磨きで磨いたんです。」
「爪磨きもいけません。」
はっ。そんなの聞いてない。ってか、マニキュアはいけないの何と無くわかるけど、何故爪磨きまで駄目なんだ。

そぅ思ったら、口に出てしまった。
「それよりも先生、マニキュアと爪磨きで磨いた爪の区別もつかないんですか。見た感じもちょっと違うと思いますけど。」
先生の眉がその私の言葉に敏感に動いた。
「先生は、爪磨きも駄目だと言ったのですが。」
苛々した口調だ。でも止まらなかった。
「爪磨きのどこがいけないんですか。先生の顔よりマシだと思うんですがね。」


嗚呼・・・何言ってんだ私は。

放課後、私は指導室に呼び出された。指導室に入ると、そこには体育の先生と、私の母親が座ってこちらを見ていた。
何でお母さんまで。私はお母さんが嫌いだ。母親面しやがって。
「何でお母さんがいるの。」
「ドアの近くで立ったまま喋るんじゃありません。早く中へ入りなさい。先生も待っていらっしゃるでしょう。」
またか。もぅこんなのウンザリだよ。
「・・・・・ないで」
「「え?」」
先生とお母さんが聞き返した。
「母親面しないでよ!!いつもいつも家ではゴロゴロしてばっかで3歳の弟の面倒もろくに見ないし、家事だって、仕事をしてるわけでもないのに、そんなんで母親面しないでっ!!」

―――・・・・


言っちゃった・・・・。もぅどうすればいいか分からなくて、私は走って学校から出た。

気付いたら堤防にいた。もぅ・・・家へは戻れない・・・。これからどうしようか。
そんなことをうっすら考えながら、ふわふわ浮いている雲を見上げた。
「あーあ。雲はいいなぁ。何にも縛られず、自由だ。雲になりたいな。風に任せてどこかへ行ってしまいたい・・・」
『雲も確かにいいね。でも、感情があるのは生きているものだけ。その中でも人間は感情に優れてるんだ。人間も悪くはないと思うよ。』
「んー・・・・そうかもしんないけど・・・って、え?!」
私は驚いて隣を見た。
そこには小学校5年生くらいの可愛い男の子がちょこん、と腰掛けていた。
少年はにっこり笑った。
『ねえ、お姉ちゃん。お姉ちゃんは雲になりたいの?』
「・・・うん。だって、自由じゃない。」
少年は少し寂しそうな顔をした。
『自由・・・かな。ボクはあまりそうは思わないなあ。』
「どうして?」
『だって、雲には感情ないもん。自由とか、そういうの思わないんだよ。ただただ、ずうっと地球の周りをぐるぐるぐるぐる。空から見る世界はあんまりにもちっぽけで、何が起きてるかすら殆どわからないんだよ。・・・・雲は・・とてもつまらないよ。』
空を見上げてそう言った少年の横顔が、何故かとても大人に見えた。そっか。私は一体何を考えていたんだろう。私より小さな子に、人間の素晴らしさを少しだけ教えられた気がする。
「へへっ、ありがとう。何かさ、人間のままでもいいかな、なんて思えてきちゃったよ。それにしても、キミはなんでそんなに雲に詳しいの?」
『そんなの、決まってるじゃないか、お姉ちゃん。ボク、雲なんだ。』
「え?」
次瞬きをしたら、目の前に少年はいなかった。
周りを見回したけれど、堤防には私しかいなかった。




fin



あとがき
日記に書いたブツです。
ぃやゃ、文ってやっぱり難しいー。うまく纏(まと)まらない。。。
3分の1が実話です。私の体験談でございますよ。もっと上手な文が書ける
ようになりたいです・・・・。
2004年8月19日の日記より









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