A Shooting STAR

 ガタゴト。
 ガタンゴトン。
 ガタン。ゴトン。ガタ、ゴトゴトガタ。
 規則正しく、というよりは若干乱れた揺れを生み出しながら汽車は暗闇を走り続けていた。
 一般車両の木で出来た固いシートはお世辞にも座りごこちがいいとは言えず、椅子につられて身体も不規則に揺れながらキーリはちょっと顔をしかめた。(衝撃を柔らげるための薄い布キレが一応くっついていたがむろんそんなもの役には立たなかった。)
 こんなことならケチらずに一等客室、とはいかなくても二等客室の切符を買って置けばよかったのかもしれない、と思う。もっとも切符を買ってきたのはキーリではなく今目の前で寝たフリをしている赤銅色の髪の青年であり、キーリに選択の余地など無かったのだが。
「ハァァァァヴェイィィィィィ」
 ガタゴトゆれる座席のせいでハーヴェイ、と言ったつもりが変な風に間延びして別の生き物の名前を呼んだみたいになってしまった。それでも向かい座席の青年は気だるそうに片目を開けると、
「何」
 と、口先だけの動きでこれまた気だるげな返事を返してきた。
「あのね、どうしてこんなに…わっっ!」
 突然大きい揺れが来てキーリの身体は簡単に座席から数センチ浮き上がり、次の瞬間お尻を力いっぱい座席に打ちつけてしまう。おまけに舌も噛みそうになって、キーリはますます顔をしかめた。
『キーリ、大丈夫か?』
 ひざの上のラジオから聴こえるノイズ交じりの声に、うん、大丈夫、と返事をしてキーリは再びハーヴェイの顔を見上げたが相変わらず青年は目を閉じていてキーリの事など気に求めていないようだった。
『おい。ハーヴィー。女の子はいたわってやれよ』
「ハーヴェイ。大丈夫だろ、これくらい」
『ハーヴィー。』
 兵長が繰り返すとハーヴェイはやれやれ、とでもいうように視線だけをキーリのほうに向けたものの、
「だいじょうぶか?」
「…棒読みで言われたってうれしくないもん」
 ますますキーリを不機嫌にさせる結果となった。
「キーリ。それより外見てな。もう少しだ」
「え?」
 青年に言われたとおりにキーリは視線を窓へと向ける。しかし無機質な灰色の壁が高速で過ぎ去っていくだけで、このトンネルは一体いつまで続くのだろう、と思った次の瞬間、トンネルが切れた。
「うわぁ!!!」
 視界に広がるのは鮮やかな緑。これまで一度も見たことも無い光景に、キーリは思わず歓声を上げる。
「すごい!!ね、ハーヴェイ!見て見て!!」
「……見てる。」
「ね、兵長!すごい!!うわ、うわぁっ!」
『この辺は比較的戦争の被害も少なかったんだ。田舎だから植物の成長も早い』
「うん!」
 はしゃぐキーリにそう説明して、兵長(キーリが行儀悪く座席に登ってひざを立ててしまったので今はひざの上ではなく座席の上に放り投げられている。)はもう一人の旅の連れに声をかけた。
「しかしよく覚えてたな」
「ああ。きっかり2分と30秒。」
『普段はあんなに時間に無頓着なくせに』
「……教えてもらった事は忘れない。」
 そういってかすかにハーヴェイは微笑んだようだった。

 ひとしきり窓の外の風景を楽しんだ後車掌が切符の拝見をしに来て、トンネルお疲れ様まもなく次の駅に着きますよ、と教えてくれた。
「え?降りれるんですか?」
「キーリ」
 思わず聞き返した瞬間反対側から声が飛んできた。降りるつもりは無い、という意味なのだろうが無視してキーリは車掌の話に耳を傾ける。
「小さい町が一つあるだけですから普段は観光には向かないですけどね。星が綺麗だから一度は見てみて損はないと思いますよ」
「ええと、あの、」
 どれくらい見えますか、と聞こうとしたとき、通路の反対側のボックスから少年の声が飛んできた。
「ねぇ、おかーさん!お星様見えるって本当?」
「本当よ」
「お星様時々走るって本当?」
「さぁ。本当に時々だから見つけられるといいわね」
 優しそうな女性の声が少年の質問に答える。走るお星様、という言葉にキーリは興味を持ったが車掌は一瞬の間に隣の車両に移ってしまったらしく、質問する相手を失っていた。仕方ないのでキーリは母子の会話に耳を傾ける事にした。(ハーヴェイに聞いてもよかったのだがきっと答えなんか返ってこないに決まって る。)
「もし走るお星様を見つけたらね、お願い事をかなえてくれるのよ」
「ふーん。じゃあボク、早く大きくなれるようにお願いする!」
「そうね。そのためにはまず、お星様を見つけなくちゃね。」
「うん!!」
(願い事、かぁ……)
 走るお星様、というのはつまり流れ星のことなのだろう。気付いたらキーリの小さな胸は興奮を隠し切れずにトクトクと音を立てて弾んでいた。星という存在だけに限って言えば寄宿学校にいた頃にも見えないことはなかったのが、濁った空のせいなのかそれとも単にキーリの運が悪かっただけなのかキーリは流れ星なんて見たことも無かったし、もちろん願いがかなうなんて話は聞いた事も無い。
「ね、ハーヴェイ」
「…………。」
 上目遣いに見上げてみるが、今度こそ本当にハーヴェイは寝た振りを決め込んでしまったらしい。窓枠と左手で顔を支えたまま動く気配すら見せない。仕方なくキーリは椅子の上に置きっぱなしになっていたラジオを再びひざの上に持ち上げた。
「兵長ー」
 しかしラジオからはいつものようにつけっぱなしになっている雑音交じりの音楽が軽快なリズムに乗って微かに聞こえてくるだけで、兵長も寝たふりを決め込んでしまったのかもしれない。
「ハーヴェイ」
 もう一度名前を呼んでみても反応は無い。少し悔しくなってキーリは口を尖らせると、
「ハーヴェイハーヴェイハーヴェイハーヴェイハーヴェイ」
「………だから何」
 5回目の連呼でやっと青年は瞼を持ち上げる。
「お願いお願いっっ!!流れ星見たい!」
「……」
「お願いっ!」
「切符が無駄になる」
「ケチ」
 しかしそれ以上ハーヴェイは何も答えてくれなかった。

 *****

 ガタンゴトン。
 ガタンゴトン。
 昼間のトンネルとは打って変わって汽車は規則的なリズムで柔らかく揺れる。
 布団代わりにダッフルコート、枕の替わりに鞄、というありあわせの格好で寝息を立てている向かい座席の少女を見てハーヴェイは小さなため息をついた。
『ハーヴィー』
「ハーヴェイ」
 もはや通算何回目かもわからぬ訂正をラジオに投げつけて青年は窓の外へと視線をやる。宵闇に紛れて今一つ良く見えないのだが緑の風景なんて昼間の内にとっくに通り過ぎてしまって、ポツポツと見える明かりから想像するに、今、窓の外に映っているのはウエスタベリとそう変わらぬ感じの街の姿なのだろう。
『……あんなに見たがっていたんだ。一日くらい泊まって行ってやれば良かったんじゃないか?』
「今更何言ってんだよ。兵長も」
『寝たふりなんて大人気ないんじゃないのか』
「……良く言うよ。自分だって無視したくせに」
 結局昼間の駅で降りたのは通路の向こう側に座っていた親子だけで、完全にむくれてしまったキーリは一言も口を聞かないままでいつまでも行儀悪く窓に張り付いて外を眺めていた。
 いつもはあれほど煩い煩いと思っていた声が聴こえないのもそれはそれでどこか拍子抜けで、しかし話し掛ける言葉なんて見つからない。気まずい雰囲気を抱えた3人を乗せたまま汽車はゴトゴトと線路の上を転がっていた。
(キーリが流れ星なんか見たがるから悪いんだ)
 自分の反応は棚に上げて心中で密かに責任転嫁をしつつ、ハーヴェイはもう一度ため息をつく。
 昼間の2分30秒。教えてくれたのは今は亡きタディウスだ。タダイも連れて1度だけ3人でこの辺りに来た時から比べるともう風景はあちこち変わってしまって、そのくせ流れ星に願いをなどという陳腐な伝説だけが今も何も変わらずに語り継がれているらしい。

――ほらごらん。星が綺麗だろう。
――うん!
――こうして見ていると時々流れる星がある。みつけたときに願い事を唱えると叶えてくれるんだ。
――……本当に叶うのかそれ。
――嘘だと思うなら願ってみればいい。何もしないよりはマシだろうさ。

「……願い事なんて、叶うわけない。」
『ん?ハーヴィー、何か言ったか?』
「……ハーヴェイ。何でもない。おやすみ兵長。」
 兵長が何か言いかけたようにも聴こえたが、プツ、と問答無用でラジオの電源を切った。

 次の日はやたらと朝早くから車掌が切符の拝見に来た。半分寝ぼけ眼でキーリがポケットから既によれよれになっている切符を取り出して見せると車掌は「おはようございます、お疲れ様」と頷いて、まもなく駅に着きますから降りる準備をしておいた方がいいですよ、と教えてくれた。
 降りる準備、といってもキーリの持ち物はせいぜい鞄とラジオくらいで(それだって、ラジオはキーリのではなくてもともとハーヴェイのだ)、ハーヴェイに至ってはバックパック一つしかない。そのまま車掌が直ぐに隣の車両に移ってしまったところをみると、どうやらキーリが寝ぼけている間に先にハーヴェイは切符の点検を済ませてしまっていたらしい。
「………。」
「………おはよ兵長。」
 なんとなく気まずい雰囲気がぬぐいきれなくてハーヴェイではなく兵長に向かって朝の挨拶を口にする。直ぐに返事は返ってこなくて「あれ?」ラジオをしげしげと観察したらあろうことか電源が切れていた。そういえば、さっきからやけに静かだったような気がする。
 つまみを捻って電源をオンにすると、プツ、というかすかな音と同時にいつもと同じノイズ交じりの音楽が聞こえ始め、
『おい、こら、ハーヴィー、てめ!』
 ついでに兵長の罵声も飛んできた。
「おはよ、兵長」
『ああ、おはよう。キーリ、それよりコイツ酷いんだぜ。いきなり電源ぶっちぎりやがった』
「そうなの?」
 怒っているのか僅かに空気の圧力を吐き出すラジオにつられてハーヴェイの顔を見上げたが、向こうはキーリのほうなんか見ていなくて、伸びすぎた赤銅色の髪も青年の瞳を隠していて、どんな顔をしているのかもわからない。
『キーリ、昨日ごめんな』
「ううん。いいよ。兵長のせいじゃないし」
 兵長の、というあたりにアクセントを込めてキーリは答えた。 『ハーヴィーだって意地悪でああ言ったわけじゃないんだ。ただ昔の』
「兵長」
『……わかったよ』
 一言だけ遮るように発せられた声にラジオは黙ると、変わりにいつもの音楽を流しだす。普段より若干ノイズが酷いのは電波のせいなのか、もしかしたら兵長がフキゲンなせいなのかもしれない。
 それ以上互いに何の話もしないままいつの間にか汽車は目的の駅のホームに滑り込み、駅名をつげる車掌の朗らかな声が響く。
「……降りるぞ」
 それだけ言って歩き出したハーヴェイの歩幅に遅れないようについていくのが、キーリにはやっとだった。

 *****

「はぁぁ……」
 簡素な宿の机に突っ伏してキーリは長いため息をついた。ああ、どうしてこんなことになっちゃったんだろう。駅から降りて最寄の宿についた後、用事があるとかなんとか言ってハーヴェイは宿にキーリと荷物を押し込み、自分はさっさと街に繰り出してしまった。そのまま半日が経って太陽はもう頂点を過ぎている。一瞬置いていかれたんじゃないかと思ったりもしたが、兵長も荷物も宿に置き去りになっているところを見るとその不安だけはしなくても良さそうだった。
(きっと昔、何かあったんだ)
 汽車の中で兵長が言いかけた言葉が妙に頭の中に引っかかる。どうせ何か聞いても答えちゃくれないしハーヴェイも聞いて欲しくなさそうだからあまり過去に触れるような事はしたくないのだけれど理由も言わずに跳ねのけられたのにはキーリもさすがにちょっと傷ついた。
 ハーヴェイが出て行った直後に兵長に問い詰めてみても、アイツにはアイツの事情があるんだ、と濁した答えが返ってくるだけで結局何一つ新しい事はわからなかった。
「ねー、兵長。」
『ん?なんだ?』
「……私が星見たいって言ったからハーヴェイ怒ったの?」 『……さぁな。誰にでも触れられたくない部分ってのがあるんだろうよ』
 兵長は絶対何か知っている。そりゃもちろんハーヴェイと兵長が二人で旅してた時間は長いけどそうやって言われるとなんだか仲間はずれにされてるみたいで、そう考えたら思わず目の端にじわっと涙が浮かんできて、キーリは慌てて服の袖でそれをぬぐうとラジオからは見えない向きに突っ伏す方向を変えた。

 そのまま気付いたら、いつの間にか部屋の中は真っ赤に染まっていて簡素な窓からは綺麗な夕日が良く見えた。
「……あれ?」
 どうやら昼のままの格好で眠ってしまっていたらしい。朝が早かったせいだ。壁際に取り付けられていた小さな鏡に顔を映すと右のほっぺにくっきりと服の跡が残っていて、ごしごしこすっても取れない。そのまま鏡とにらめっこしていると、
「おそようさん」
 入り口付近から降って来た声にキーリは頬を膨らませた。
「……戻ってきてたなら起こしてくれれば良かったのに」
 用事は終ったの?と聞くと、ああ、と短い返事が返ってきてハーヴェイがまだ怒っているのかとキーリが心配になった時「キーリ、兵長持って」と続けざまに言われてキーリは一瞬自分の耳を疑った。 
「持つって、どっかいくの?」
「そう遠くないから」
 それは肯定の返事で、言われた瞬間昨日今日の気まずい雰囲気なんか全部忘れてキーリは「うん!」と言いながら急いでコートに袖を通してラジオを肩からぶら下げた。

 *****

「ハーヴェイィィィィ……。」
 前をすたすた歩く青年の背中に声をかけると、数秒たってからようやくハーヴェイはキーリのほうを振り返った。
「何?」
「……あとどれくらい?」
「10分くらい」
 そう言ってハーヴェイは再び前を向いて歩き出す。宿を出てからかれこれ40分位は歩き通しで、てっきりどこか近くの店や民家に行くものだと思っていたキーリにとってはこんなに歩くなんて予想外だった。ハーヴェイと一緒にいるうちに長い距離を歩くクセがついてしまったので疲れてはいないのだがそれよりもなによりも騙された、という気持ちが強い。遠くないって言ったじゃん。ウソツキ。
 ハーヴェイが先に歩き出してしまったために出来てしまった数メートルの距離の隙間を埋めるためにキーリはちょっと駆け足になった。
『おい。ハーヴィー。女の子はいたわってやれよ』
 次いで兵長が昨日と同じ科白を投げつけた時、ハーヴェイは片手を上げて返答をすると、しかし昨日とは違ってそのままの位置で立ち止まったが
「えっ?うわっ!」
 当然後ろから駆けていていたキーリは急に止まれるはずもなくそのまま青年の背中に激突する形でようやくハーヴェイに追いついた。次の瞬間、「わっ!?」
突然振り向いたハーヴェイに抱えあげられて体が宙に浮く。 「ハーヴェイっ」
 とっさに手足をバタバタさせてもがくと、ハーヴェイが顔をしかめて言い放った。
「あー、もう、動くな。落とすぞ」
「落とされるのはやだ…」
「なら、じっとしてろ」
 結局、そのままお姫様抱っこされる形になった。ハーヴェイの顔が近すぎて、胸の鼓動が聞こえるんじゃないか、なんてことをキーリはずっと考えていた。

 夕焼けは気付けばとっくに沈んでいて空は既に紺色の夜で塗り固められている。どこかで聞いたことあるような虫たちの声が微かに耳にこびりついて、ハーモニーとも言えない不思議な音を醸し出す。
 はい、到着。そう言ってキーリが降ろされたのは小高い丘の上で、一体こんなところまで何しに来たんだとキーリが怪訝に思ったところで兵長が口を挟んできた。
『ハーヴィー。やっぱり気にしてたんじゃねえか』
「ハーヴェイ。」
 ハーヴェイは訂正だけを返したものの後半の言葉に対する答えはなくて、それだけでキーリには全てわかってしまった。ハーヴェイ、と解答を求めるように名前を呼んだら、
「あー、その、なんだ」と青年は言葉を続けて「あの地域ほどキレイじゃないけど街中よりはよっぽど良く見える。」
 そう言って自分はごろりと丘の上に大の字になって寝転がる。服が汚れそうだ、なんてことすら思いつかないままキーリも真似をして隣にころんと転がったら視界の一面が全て夜空になった。
「うわぁ……」
 思わず感嘆をあげると、隣からハーヴェイの声が聴こえた。
「……この町に住んでいてもほとんどの奴は此処の場所を知らない。まあ、俺の秘密の場所ってことだな。感謝しろよ。」
「うん。」
 返事をしながらも、キーリの視線は既に流れ星を探す事に必死になっている。どこか上の空のような返答にハーヴェイは苦笑して、キーリにくっついたままのラジオに話し掛けた。
「兵長も何か願うのか?」
『お前、その話信じてないんじゃなかったのか』
 驚いたような兵長の声にしかしハーヴェイは「俺じゃなくて兵長」と返答になっているようななっていないような返事を返す。
「あ」
 その瞬間、不意に星が流れていくのをバッチリ見かけてしまい声を上げた。途端にキーリからも「え?あったの?どこどこ?どこ?え?」という問いが飛ぶ。
……もしかしてこいつ、流れ星のこと、勘違いしてるんじゃないだろうか。
「キーリ、流れ星ってのは一瞬だ。長い時間長い距離を流れるわけじゃない。」
「え?そうなの?」
 戻ってきた答えにやっぱり……と呟いたハーヴェイを遮るように今度は兵長が『お!すごい!』流れ星を発見したらしくどこかしら嬉しそうな声が飛ぶ。
「…ずるいよ二人ともー」
「ほら、よく見てないと見つけらんないぞ」
 そういった瞬間に「あ!」嬉しそうなキーリの声が飛んだものの、「……願い事言うの忘れた…」と呟いた声にハーヴェイは思わず吹き出しかけた。
「何やってんだよ」
「だって」
 ほら、次は頑張れよ。早くしないと夜が明けちまうぞ、などと言いながら、ふと、ハーヴェイは昔の記憶を思い出していた。

――親父ー。見つからないぞ!
――ほら、タダイ。そうやってよそ見しているうちに見のがすんだぞ?
――馬鹿じゃねえの。
――なんだとこのヤロー!
――ちゃんと見てれば見つかるさ。ほら。
――え?どこだよ!くそー!
――ほら、早くしないと夜が明けるぞ。
――ちくしょー!なんだよ!そういうハーヴェイは見つけたのかよ!
――まぁな。

 ……もし、願いが叶うなら。
 もう誰も失いたくはない。

 ふとキーリへ視線を向けるとキーリが不思議そうな顔でハーヴェイを眺めていて、「ちゃんと願い事、唱えられたのか?」と聞いたら「……えへへー、うん。」という返事が返ってきた。
 更にそのまま照れたような笑顔で
「ありがとう」
 と言われた。……あー、と照れ隠しのように呟きながら、ハーヴェイは決心した。星が願いを叶えてくれなくても、せめてこの笑顔だけはこの手で精一杯守る。だから安心しろ、キーリ。

 夜空では無数の星が瞬いて、もう一つ、また新たな星が流れたのが見えた。


Fin


















*コメント*
上月りと様から頂きました小説です!!
ハーヴェイのお姫様抱っこに「きゃーw」と思わず叫びそうになりましたですょ・・・ッ!!!
ハーヴェイがとても素敵ですwキーリとちょっとラブラブな雰囲気が・・(ぇ)vv
兵長もちゃんと活躍していますね(笑)兵長は結局はキーリの味方なのですよw兵長素敵ーw
キーリらしさもとてもありますねvりとさん、本当にありがとうございますですw(UPするの遅くなってごめんなさい・・・!)

りと様のホームページはコチラからどうぞv









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